これまでと違い弟を連れての２人旅。

当時大学生だった僕が父親のように食費や宿泊費を払い、母のように洗濯物を手洗いし、トイレのために夜中に２、３回起こし、純粋に旅を楽しんでほしいという１旅人である兄として負担をかけないようにと75ℓ(45ℓ、30ℓ)の荷物を持ち三役をこなしながらのヨーロッパ周遊。

タイ経由でドイツ、オーストリア、チェコ、ハンガリーと基本的には友達と会うことを目的に旅をした。タイでもオーストリアでもチェコでも…。どこに行っても可愛がってもらえた弟。

とはいえ、初めての海外は不安があっただろう。言葉が伝わらないのは悔しかっただろう。観光地まで3、4時間も山を登って辛かっただろう。

いよいよ帰国となり空港に向かう電車で聞いてみた。この20日間はどうだった？恐らく返ってくるのは楽しかったとかちょっときつかったなんて感想。

しかし、返ってきたのはお兄ちゃん、旅ってさぁ…。妖怪ウォッチの帽子を被ったどこにでもいる９歳の小学３年生。そんな見た目をしているけれど大事な瞬間が来るような気がして身構えた。

「お兄ちゃん、旅ってさぁ、観光じゃなくて人だよね。」この１言に９歳とは思えない言葉の重みを感じた。これまで僕が旅をしてきて感じた大事なことが伝わっていた。涙が出るほど嬉しかった。涙を堪えることに必死だった。

帰国後は友人や旅関連の会社からご依頼を頂きトークライブを開催。

20～30人の大人を前にしても堂々と話せるまでに成長していた。